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映画「Starting Over」で感じた、多様性

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先日、とあるイベントで西原孝至監督の「Starting Over」という映画を観てきました!
内容は、若いレズビアンカップルの心の変遷を描いた青春ドラマ。
母親や恋人とぶつかりながら自分の居場所を探し求める少女の姿を描き、第27回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門ほか、国内外の映画祭で高い評価を受けている作品です。


<あらすじ>
19歳の奈々は、東京の片隅で暮らしている。この世で信じられるのは、血で繋がった自分の母親と、そして愛し合う同じ歳の真凛だけだった。奈々は愛を求めてふたりにぶつかるが、人生は彼女に愛を与えてはくれない。まだ手つかずの人生を前に、悩み、苦しみ、そして本当の愛の意味を探し始める…。本作は従来の映画制作システムとは一線を画した、少人数スタッフ、自己資金にて制作された。
出典:東京国際映画祭2014



リアリティから感じるもの


とにかく主役の2人の女優さんの素直な表情や演技が美しくてひきこまれたなぁ、というのが全編を通しての感想でした。そしてとってもリアル。

それもそのはず、西原監督はドキュメンタリー番組のディレクターとしても活躍し、学生団体・SEALDsに密着したドキュメンタリー「わたしの自由について SEALDs 2015」など被写体の姿を通し社会を鋭く切り取ってきた方。 そのリアリティのおかげで、スルリとお話に入り込むことができました。

またラッキーなことに、上映後監督と女優さんのお2人のトークでお話を聞く事もできたのですが、この作品は監督からの演技指導はほぼなく「感じるままにやってください」というのがオーダーで、お2人の感じるままの演技だったよう。
主人公の秋月さんが、相手役の遠藤さんのことを「(撮影時は)本当に好きになっちゃいました」とも仰っていたので、そういう感情が見る側にも分かるものなんだなぁとしみじみしてしまいました。
作中には印象的な喧嘩のシーンがあるのですが、そこも「相手にバイトのことを伝える」ということ以外全てアドリブ、カメラを長回して何テイクも感情のまま泣きながら喧嘩をして…というような撮影裏話もあり、本当にその時に恋をしていた2人の自然な様子だったのかと思うと、益々リアルに感じました。

多様性を考えるきっかけ


すごくおもしろいなぁと思ったのが、このトークイベントの際の質疑応答で全くLGBTに関する質問がでなかったこと。不思議なことに私も思いつきもしなかったのです。

これってなんだろうと後で考えたんですが、「あまりにも普通のこと」だったからじゃないかと思ったんです。
「多様性」とは最近よく聞かれる言葉ですが、やはり自分の価値観とは違うものに関しては疑問がでてくるものだと思うんです。ただ理解しようとしても、あまりにも「自分と違うもの」として認識していると、コチラ側とアチラ側には見えない線が引かれて分断されているという風にも考えられます。
この映画を観た後、コチラ側とアチラ側に分かれていなかった。
レズビアンだから特別、とかいう視点ではなく、1人の女の子を通して人間というものがただただ純化されて映しだされているような話として観ることができたのかもしれない…と。
こういう風に色んな生き方の一つとして素直に受け取るのが多様性という感覚なのかも。 それを感じることのできる映画という媒体、改めて素敵だなぁと思いました。

強さと弱さについて


そして、もう一つ気になったことがあります。
監督がトーク中最後の方に言った言葉。
「僕の場合は、弱い人を撮りたいというのがあります。強い人よりも弱い人に興味がある。」というところに考えさせられました。

昔のインタビューでもこう仰っています。

強い人間はいっぱいいると思うのですけれども、僕は強い人が苦手というか。日常生活でもそうですけども。どこかに弱いところを、人間誰しも持っていると思います。そういう弱さを見せてくれる人を信頼できる、というのがあるんですよね。 出典:東京国際映画祭2014


人の孤独や弱さに焦点をあてるからこそ見える強さ、そこから生まれる信頼感、確かに注目してみたいです。 私は映画の中で昔の自分と重なる様なシーンがあったのですが、過去の自分はとても悲しかったのに現在の自分は全然悲しくない、という面白い体験をしました。
自分の体験や感情、価値観を感じるのにとってもおすすめの映画なので、みなさんも機会があれば是非!

「青山シアター」で試聴できます! https://aoyama-theater.jp/pg/2574

西原監督、次は目も見えない、耳も聞こえない、「もうろうを生きる」というドキュメンタリ作品を製作中!こちらにも注目です。 https://motion-gallery.net/projects/mourou_wo_ikiru


<監督のコメント>
光と音のない世界を生きる人々がいます。
私たちは今回、盲ろう者とその周りの人々の日常を、カメラを通してみつめる映画を企画しました。
人はひとりでは生きていけず、そのつながりの中から希望の糸を紡いでいるのだと思います。
生きる喜びや悲しみ、人間の弱さ、孤独を、まじろがずにみつめていく。私たちがつくりたいと思っているのは、そのような眼差しを持ったドキュメンタリーです。
この映画が、人と人が共に生きていく「コミュニケーション」そして「多様性」について思案をめぐらせる、ひとつの契機になることを願っています。出典:MotingGallery


■今回のイベントについて
今年4月にスタートした、だれでも自分の映画館(マイクロシアター)をつくることができるサービスpopcorn(ポップコーン)と、クラウドファンディングのプラットフォーム MotionGalleryの、作り手と観客をつなぐ連動企画の全国同時上映会でした。
本当にだれでもマイクロシアターがつくれるので、全国各地のカフェ、バー、書店、会社のオフィスなどで上映会を開催されたい方、要チェックです!!
https://popcorn.theater/


shoko watanabe

shoko watanabe について

デザイナー&プランナー

短大で映像デザインを学んだ後、グラフィックデザイナーとして経験を積む。大阪から東京へ活動の場を移すことをきっかけに、人とのつながり・場づくり・学びへの興味を深めるため、2013年からシブヤ大学で授業コーディネーターとして活動。和文化・街づくり・ものづくりなどのテーマでの授業づくりを展開。また2015年から、株式会社エモーヴに所属。「ワタシクリエイト」に出逢い、人生観が大きく変わる。現在は自分の幸せから周りも幸せになればいいなと、日々ワクワク活動中♪